ショービジネスの華やかな世界を舞台に、恐ろしい殺人事件が展開される『Gストリング殺人事件』。この作品は、奇抜なミステリーで知られるジプシー・ローズ・リーの小説デビュー作です。1940年代のバーレスク劇場の裏舞台で、巧妙に仕組まれた謎が読者を惹きつけます。
あらすじと見どころ
物語の舞台はニューヨークのバーレスク劇場。ダンサーの1人が「Gストリング(今風いいうとＴバックショーツ)」で絞殺された遺体として発見され、劇場内は騒然とします。主人公である女性ダンサーは、自らの命も危険にさらされる中で、殺人事件の謎に挑むことに。物語は劇場という閉鎖空間における人間関係の複雑さ、そしてサスペンスとユーモアが絶妙に絡み合った展開が見どころです。
ジプシー・ローズ・リー自身も元バーレスク・スターだったため、当時のリアルな演劇界の裏事情が鮮やかに描かれており、その臨場感が作品の魅力を引き立てます。ミステリー好きだけでなく、バーレスク文化に興味がある読者にも楽しめる内容です。
作者や背景情報
ジプシー・ローズ・リー（1911-1970）はアメリカの著名なバーレスク・パフォーマーであり、作家としても成功を収めました。彼女はエンターテインメント業界で名を馳せるだけでなく、その独特な人生観とウィットを作品に反映させました。この小説は、彼女が経験したバーレスクの世界を下敷きに、フィクションとして展開されており、後に映画や舞台化もされました。
読後の感想と評価
『Gストリング殺人事件』は、ミステリー小説としての面白さだけでなく、1940年代のショービジネスという異色の舞台が持つ独特の雰囲気も味わえる作品です。テンポの良い展開と、個性豊かな登場人物たちの掛け合いが読者を飽きさせません。また、女性主人公が自ら謎を解こうと奮闘する姿が現代的な印象を与え、古典ながらも色褪せない魅力を感じさせます。
おすすめポイント・対象読者
ミステリー好きの方：王道の推理小説に飽きた方におすすめの一冊です。
バーレスク文化や歴史に興味がある方：劇場のリアルな描写が楽しめます。
ユーモアのある作品が好きな方：シリアスなサスペンスに加え、ウィットに富んだ描写が魅力です。
類似作品の紹介
『マルタの鷹』（ダシール・ハメット）：同時期のアメリカ・ハードボイルド小説の代表作。
『第三の男』（グレアム・グリーン）：サスペンス要素のある作品が好きな方におすすめ。
『チャンドラー短編集』：レイモンド・チャンドラーの作品も、ショービジネスの裏側を舞台にすることがあります。
まとめ
『Gストリング殺人事件』は、バーレスク劇場の舞台裏を背景に、魅力的なキャラクターたちが織りなす本格ミステリーです。ジプシー・ローズ・リーのウィットと独特な視点が詰まったこの作品は、ショービジネスに興味がある方だけでなく、ミステリーの新しい面白さを求める読者にもぴったりです。古典的でありながら新鮮な一冊を、ぜひ手に取ってみてください。
