2024年本屋大賞受賞作『成瀬は天下を取りにいく』の続編として登場した『成瀬は信じた道をいく』。宮島未奈が生み出した唯一無二の主人公・成瀬あかりの物語が、さらなる深みと広がりを見せています。
あらすじと見どころ
本作は、主人公・成瀬あかりの高校3年生の秋から大学1回生の年末年始までの出来事を描いた連作短編集です。成瀬を取り巻く様々な人物の視点から物語が展開され、小学生のファン、成瀬の父親、近所の主婦、観光大使を目指す女子大生など、個性豊かなキャラクターたちが登場します。
特筆すべきは、物語の最後で成瀬が突如失踪するという展開です。この予想外の事件が、読者を驚かせると同時に物語に新たな深みを与えています。
作者や背景情報
宮島未奈は、前作『成瀬は天下を取りにいく』で2024年本屋大賞を受賞し、一躍注目を集めた新進気鋭の作家です。本作は「成瀬シリーズ」の第2作目として、2024年1月24日に新潮社から発売されました。
読後の感想と評価
本作は、前作同様にオムニバス形式を採用しながらも、より深みのある人物描写と予測不能な展開で読者を魅了します。各章の主人公が持つ人間らしい弱さや悩みに、成瀬の存在が加わることで生まれる化学反応が見事に描かれています。
おすすめポイント・対象読者
本作は、明るく前向きな気持ちになれる小説を求める読者や、魅力的な主人公による一風変わった青春小説に興味がある方におすすめです。また、現代社会の中で自分らしさを模索している人々にとって、共感と勇気を与えてくれる作品となっています。
類似作品の紹介
本作の前作である『成瀬は天下を取りにいく』は必読です。また、個性的な主人公が周囲に影響を与えていく青春小説として、吉田修一の『横道世之介』シリーズも併せて楽しめるでしょう。
まとめ
『成瀬は信じた道をいく』は、前作の魅力を引き継ぎながらも、さらに深みと広がりを見せた秀作です。成瀬あかりという唯一無二のキャラクターを通じて、読者に新たな視点と生きる勇気を与えてくれる本作は、現代日本文学の中でも特筆すべき作品の一つと言えるでしょう。