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華氏451度 – レイ・ブラッドベリ〜本の存在を認められないディストピア世界の物語

文芸

情報を統制されるという考えられない世界が、いつか間違って実現してしまわないために、できるだけ早く、多くの人が擬似的に感じてもらいたい

いや、なんといいますか、情報・教育のあり方を間違えると、ほんととんでもない世界になってしまうのが、この本から伝わってきます

世界に目を広げてみると、民主国家においても言論の自由が当たり前!と言い切れなくなってきているのがわかる

ブラジル最高裁、「X」のサービス停止命令 偽情報対策めぐり|BBC
X接続、再び遮断か 前日に復活―ブラジル|時事通信

ブラジル国内からX(旧ツイッター)へのアクセスが制限されるようになっているのだ

これまであったものが、この先も当たり前のようにあると、気楽に思っていてもいいのだろうか

本当にそんなことになってしまう前に、そんな世界線に触れてみて、その恐ろしさを深く想像し、そうならないようにするにはどうすべきか、と考える切っ掛けにもいいかもしれない

発見された本を焼き払う世界に触れてみましょう

華氏451度 – レイ・ブラッドベリ

『華氏451度』は、本を読む、本を所有することが禁じられた近未来世界を描いたディストピア(ユートピア[理想郷]の反対語)作品
華氏451|Wikipedia

1953年に発表され、1966年にはフランスの映画監督フランソワ・トリュフォーによって映画化もされている(2018にリメイクされている)

小説が出版され、映画化もされていると言っても1960年代までのこと

なので、この作品内にインターネットの存在は感じられない

しかし、放送なのかケーブルテレビなのかはっきり判りませんが、双方向のデータ送信を匂わせるテレビは登場する

インターネットのような能動的な使い方はできず、放送されるコンテンツに対してフィードバックが出来る……といった程度のもの

1950年代に発表された作品とはいえ、現代からみても、もうちょっと先の未来には実現されていそうないい塩梅の世界観が描かれていると思う

そんな世界観の中で、本の存在を否定する政府が登場するのだ

いつの時代にも、その時代を憂う人はすくなからずいるもので、本の存在を否定する政府に雇われて本を焼き払う主人公と、そんな時代を憂う人たちとの出会いから、刺激され心が揺れ動く様を垣間見ることが出来る

んん〜なんか違うなぁw

うまく表現できませぬ

ここはまた100分 de 名著 NHKテキストの出番やろか(笑)

100分 de 名著でも取り上げられる

2021年6月の放送で取り上げられています

解説は名古屋大学大学院情報学研究科教授の戸田山和久先生

この100分 de 名著のいいところは、関連する書籍や論文からも情報を持ってきて、本編に加えて話を広げてくれること

著者レイ・ブラッドベリがこの『華氏451度』を書くにあたって、その前身となる『ファイアマン』という中編作を9日間で書き上げていたこと

その『ファイアマン』を書き上げたのは、バスで通ったUCLAの図書館の地下にあるタイプ室で30分10セントのレンタルタイプライターに効果を投入し続けていたことなんて、本編だけを読んでいたのでは決して知り得ない情報ですからね

戸田山先生もご指摘されていますが、のちに『華氏451度』へとつながる『ファイアマン』という焚書(書物に記された思想を禁圧し、その流通・伝搬を防止するために、公開の場で当該の書物を焼き捨てる行為・儀式……『100分de名著P11欄外より』)社会の話を図書館という本の聖地といってもいいであろう場所で書き上げたというのも、ひとつのエピソードとして興味深いものだ

もちろん、本編内から主人公のモンターグの解説や分析、その他、登場する脇役キャラの解説から、作品の世界観の深堀りまで、自分の頭だけでは到底たどり着けない情報が詰め込まれています

『華氏451度』本編を読んだあとには、この100分de名著NHKテキストも手に取ってみると、より深く読み解くことが出来ると思います

ディストピア作品として引き合いに出される(かな?)『1984』よりは文体も軽く、すいすい読み進められたと思います

まだ自由な発言の許される今のうちに、この物語に触れておいて、自分たちの手で自分たちの首を絞めることにならないようにしたいものです